メイジキメラのつばさ

今年は読書の年にしました

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【化学物質過敏症についてのマンガ】かびんのつま1巻を買いました。

ビッグコミックスペリオールで連載されている
「かびんのつま」というマンガがあります。
これは、作者のあきやまひできさんの奥さんのかおりさんに
実際に降りかかった様々な【過敏症】についての
実録マンガです。

先日1巻が発売されたので買ってきました。

ネタバレ要素を含むので、あらすじと感想については
追記からご覧ください。




私がこのマンガを読んで最初に思ったのは
無関心と無理解の悲しさでした。
健康であることは喜ばしいことだけれど
決してそれは当たり前なんかじゃなくて
私が普通だと思っているものから刺激や痛みを受ける人がいる。
それはとても衝撃的なことでした。

食品アレルギーですら、甘えだと言う人がいるくらいです。
これについては私は怒りすら覚えるのですが
食品アレルギーは命に関わるものもあるので、甘えとか言う前に
想像力を働かせて、知識を身につけていただきたいものです。

ましてや、相手は目に見えない電磁波や、種類がとても多い化学物質です。
顔が赤くなるとか湿疹が出るとかなら理解を示す人もいるかもしれませんが
「痛い」だけだと「精神的なものじゃないの?」と言われることだってきっとあります。
かおりさんだけじゃなくて、過敏症に悩む方々は
過敏症の症状だけではなく、周りの無関心、無理解にも
傷ついたりするのでは、と心配になりました。


見えないもの、分からないものに漠然と恐怖する前に
知識を身につけるのはとても大切なことだと思います。
そういった意味で、このマンガ「かびんのつま」は
化学物質過敏症をはじめとする過敏症に悩む方やそのご家族、
また、こういう症状について知らない方にも読んでいただきたい
と私は思いました。

もっとも、作者のあきやまさんは過敏症の専門家ではないので
作中の描写やあきやまさんの推測には間違いもあるかもしれません。
しかし、あきやまさんが、過敏症に苦しむかおりさんを実際に見て描いたマンガです。
どんな症状が起こるのか、その時にご本人が、ご家族がどんな気持ちになるのか、
赤裸々に描写されています。

巻末には化学物質過敏症研究の第一人者である教授への
インタビューも収録されています。
絵で分かるマンガと巻末のインタビューで
化学物質過敏症について知ることができるかと思います。

なお、この単行本はベジタブルインク(植物油インク)で印刷されています。
現在連載されているエピソードでは、かおりさんはインクに対する過敏症の症状も出ています。
このような症状に悩む方にも手にとってもらえるように、と
作者のあきやまさんが「ベジタブルインクで」と希望されたそうです。
このような気遣い、とても素晴らしいことだと思うのです。

↓以下、あらすじを含む私の感想です。

↓ここから下ネタバレを含みます
私の感想部分はこの色で書きます。

・体の中の缶
かおりさんは独身時代に
大手食品会社の研究員をしていたそうです。
そこで、食品添加物や保存料などを使い
いろいろな食品の開発をしていました。
それらを試食するのも仕事だったため
かおりさんの体の中には色んなものが溜まっている、と
かおりさんは考えています。


私 時々想像するの…
お腹の中に 色んな物質を入れる 缶があってね…
そこに 体内に取り込んだ 有害な物質が 溜まっていくの…
かびんのつま(1) P16



体の中の缶という考えは私にもしっくり来ました。
私の中の缶はどうなっているんだろう。
アレルギーにも通じる考え方のような気がします。



・かおりさんの幼少時代
かおりさんは、幼少時代より、実のお母さんから虐待を受けてきました。
お父さんと弟さんはそれを見ても無関心。
家族でサンドイッチを食べるときにかおりさんだけパンの耳だったり
家族の味噌汁を作るときにかおりさんのお椀で味噌を溶いたり
お母さんの機嫌が悪い時には布団たたきで殴られたりしたそうです。

私も親とはあまり折り合いが良くないけど
さすがに暴力は振るわれたりしなかったので
かおりさんの話を読んでいると、かわいそうで切なくなりました。



・光過敏症の発症
あきやまさんとかおりさんはスイスの明るい日差しのもとで
結婚式を挙げました。
その後帰国してから、かおりさんの体に【光過敏症】の症状が出始めたのです。
日光に当たると顔や目が痛くなったそうです。
紫外線への過剰反応を起こす疾患である、とあきやまさんは調べます。
家の中にいても日光が入ってくるため、遮光カーテンを設置しました。

そんな折、かおりさんのお母さんが肝臓がんにかかり
ほどなく亡くなります。

光過敏症のかおりさんは、日光が出ている間は出かけることができないので
日が暮れてからお母さんの通夜に出かけました。

・熱過敏症?
その通夜の席で、かおりさんに新たな過敏症の症状が出ます。
ろうそくの炎で顔が痛くなり、祭壇に行けなくなったのです。
しかし、お父さんと弟さんは、目に見える症状が出ていないかおりさんに理解を示すことなく
「もう帰れ!」と怒る有様。
結局、外で行われる火葬には出席できず、かおりさんは東京に帰ってきました。

家に帰ってから、ホットプレートやガスコンロの熱にも反応することが判明し
火がついているとキッチンにいられないようになりました。
しかし、あきやまさんが調べても【熱過敏症】という疾患は見つからず。
症状は出ていても、熱で皮膚が痛むという病気はなかったのです。

謎の病気 熱過敏症?
世界中で「熱過敏症」という病気を持っているのは
かおぴゃんだけなのかもしれない…
かびんのつま(1) P71
※あきやまさん夫妻は「ひでぴゃん」「かおぴゃん」と呼び合っています



あきやまさんは、この病気を患っているのはかおりさんだけかもしれないと思っていますが
病名がついていなくても
こういう症状に悩む人はいるのだと思います。



・そして電磁波過敏症の発症
火を使った調理ができないため、電子レンジを使うようになりました。
最初は平気だったのですが、今度は電子レンジからの電磁波で
顔が痛くなる
ようになったのです。
それに伴い、電子レンジ以外の機器からの電磁波にも反応するようになり
テレビやパソコンからも刺激を受けるようになりました。
電話を使うと頬が腫れるため、スピーカーホンを使うことにしました。

電磁波の影響については、メディアでも触れているのを見たことがあります。
ただ、空気と同じく、電磁波は目に見えないので
過敏症を患っていない人にとっては他人ごとと思われる部分もあるかもしれません。
私もこのマンガを読むまで、フードプロセッサーから電磁波が出ているなんて想像もしませんでした。



・毒ガスのようなシャンプーのニオイ、そして化学物質過敏症の発症
連続する過敏症の発症の他にもかおりさんはトラブルを抱えます。
お母さんの遺産相続に関して、お父さんと弟さんが
かおりさんの分を渡そうとしなかったのです。
さらに、かおりさんが生前お母さんに渡していたお金(数百万円にのぼったそうです)も
返してほしいと何度言っても返してもらえなかったそうです。
お母さんは生前「持っているお金は全部渡しなさい」とかおりさんに言い
かおりさんは言われるとおりにお金を渡していたのです。

そんな中で、突如、シャンプーのニオイに毒ガスのような苦しさを感じるかおりさん。
やがて洗剤のニオイにも吐き気を感じるようになり、倒れてしまいます。
【化学物質過敏症】の発症です。

私は多分化学物質過敏症ではないですが(診察を受けていないため不明)
煙草のニオイ、洗剤や化粧品のニオイで咳や吐き気、頭痛が起こります。
スーパーの洗剤や芳香剤のコーナーはできるだけ通らないようにしているし
通らなければならない時には息を止めています。
しかし、不意に嗅いでしまうと、やはりしんどいです。
かおりさんは、これよりもずっとずっと辛いのだろうなと思うと切なくなりました。



・美味しいけど高価な有機野菜
これ以上体に毒素を溜め込まないように、と、
あきやま家では有機野菜を食べることにしました。
野菜以外にも有機食品を通販で購入し、あきやま家の食事は
ほぼ有機100%になりました。
健康には良いけれど高価な有機食品を食べるようになり
あきやま家の食費はだんだんかさむようになりました。


・引っ越し、そして重症化
そんな折、大家さんがあきやまさんたちの住んでいる家に住みたいとのことで
大家さんの費用負担で立ち退きをすることになりました。
新しく越す物件を夜に下見したら良さそうな所だったため、入居を決める夫妻。
しかし、入居してから、朝夕にマンションの向かいで通勤ラッシュが発生することを知ります。
この車の排気により、かおりさんの化学物質過敏症がさらに悪化、というところで
1巻【前兆編】が終わります。
2巻は【重症化編】だそうです。



現在のかおりさんはどう過ごしておられるのか心配です。
スペリオールで現在連載中のエピソードでは本当に本当に重症化していて
読んでいて胸が痛みます。
どうか、過ごしやすい環境に移って
少しでも楽になっていますようにと願わずにはいられません。

*Comment

早速読ませていただきました! 

とても丁寧にまとめられた記事で、思い入れが伝わってきました!真波さんご自身もCSのような症状を持っておられるのですね。本当に世の中でふつうに受け入れられ、治療できる病気になってほしいです。

周囲の偏見や無理解については、わたしたちの病気では、ごく当たり前で、だれもが経験するものなので、ついわたしのブログでは簡単に書いてしまいました。

慢性疲労症候群:CFS、線維筋痛症:FM、化学物質過敏症:CSは同じ病気の別の面ではないかと言われることがあります。どの病気も当事者はものすごく辛いのですが、検査に出ず、見た目にはとても元気に見えます。だから、理解されることがあまりありません…。それ以前に病気の存在がほとんど知られていません…。

そのほかのあらすじやポイントもとてもわかりやすくまとめておられて、実際にマンガを読んだわたしにとっても参考になりました。とてもよい感想とまとめをありがとうございます。また2巻のときもぜひおねがいしますね!

あきやまさんの奥様にとっても、他のCSの方にとっても住み良い世の中になるといいですね!
  • posted by Susumu 
  • URL 
  • 2014.05/06 13:00分 
  • [Edit]

コメントありがとうございます! 

Susumuさん
コメントありがとうございます。
丁寧だなんて言ってもらえるなんて嬉しいです。

私の症状は多分、本当に患っている方からしたら
気のせいかもですむレベルだと思います。

>周囲の偏見や無理解については、わたしたちの病気では、ごく当たり前で、だれもが経験するものなので、ついわたしのブログでは簡単に書いてしまいました。

そうだったんですね。
それが当たり前なら、とても悲しい。
世の中には知っていることより知らないことのほうがきっと多くて
それで苦しんでいる人がいるということを想像できないまま
傷つけてしまうかもしれないのは怖いです。

本当に、世の中でふつうに受け入れられて治療できるようになってほしいですね。
先生たちの研究もガンガン進めばいいなあ。
それこそ、花粉症のように。
花粉症の人はたくさんいて、世の中にも認知されて
花粉の飛散状況もニュースで流れますし
治療薬や特化したマスクなんかも売ってますよね。
春先にくしゃみや鼻水が出た時に、普通に花粉症?って聞かれるレベルで
みんなが花粉症についての知識を持ってます。
そんな感じで、Susumuさんが挙げた疾患も知られて
患者さんが少しでも辛くないようになればいいのになあ。
そういった意味でも、このマンガをあきやまさんが描いたことは
すごく意味があることなんじゃないかと思うのです。

あきやまさんの奥様や、他の患者さんも、あきやまさんだけじゃなくて
他の人にも理解してもらって、暮らしやすくなるようにと願わずにはいられません。

2巻の感想も、買ったら書こうとは思っているんですが
今連載されている内容がかなりショッキングなので
どう書いたものか、と、今から考えてしまいます。
今回の記事で初めてこのマンガのことを知った友人が
記事を読んで「怖くなってしまいました」と言っていました。
感想文で怖くなるなら、実際に読んだらどうなるのか心配です。

長くなってしまいました。
コメント嬉しかったです。ありがとうございました!
  • posted by 真波 
  • URL 
  • 2014.05/07 11:38分 
  • [Edit]

NoTitle 

 こんにちは。自分がその症状にならないとわからない痛み、ありますよね。
 自分自身や家族、友人、恋人が突然そうなったら? そうした想像を少しもせず生きている人たちというのは、幸せなのか不幸なのかわかりませんね。
 認知度の高い過敏症であるアトピー性皮膚炎や、また過敏症という診断ではないものの紫外線アレルギーで日光に当たれない等、重篤な症状に悩む方が身近におり、いろいろと思い当たり、こうしてコメントをさせていただきました。
 この作品のストーリーを追う限り、心的要因が症状として発現している可能性もありそうです。精神的な傷が重い体の症状となって現れる、心身症というのもまた、目に見えないゆえに無理解と誤解を生む症状ではありますが。
 アレルギーを甘えだと言い(拝読してちょっとびっくりしました)、過敏症という病状に対しても、無知と無理解と無関心を堂々とさらす、そうした人たちに怒りを覚える、そのこと自体は容易なのですが、真波さんのように作品を正面から受け止め一個人の意見としてエントリされる、というのは容易いことではないと感じ、その真摯さに頭がさがる思いです。
 それにしても、これだけ花粉症の認知度は高いのに、花粉症=アレルギーではない、と思っている人たちがかなり多いのは不思議ですね。(たびたび過敏症とアレルギーを混同して語ってすみません)
 ただ個人的には、結局のところ、原因が何か、どういう病理か、ということはあまり大きな問題ではないように感じました。(メカニズムが解明されるに越したことはありませんが)
 結果として、症状に現れている。実際に、その人が苦しんでいる。周囲の反応が、その苦痛に拍車をかけている。そのこと自体に真正面から向き合わなければ、解決しないことはたくさんあるのでしょうね。
 勉強の糸口とになり、また心に響くブログ記事をありがとうございました。真波さんの辛い症状も快方に向かうことをお祈りしています。
  • posted by 今日の名無し 
  • URL 
  • 2014.05/10 00:34分 
  • [Edit]

コメントありがとうございました。 

>今日の名無し様
はじめまして、コメントありがとうございます。

>自分自身や家族、恋人が突然そうなったら?
 そうした想像を少しもせず生きている人たちというのは、
 幸せなのか不幸なのかわかりませんね。

本当にそう思います。
うちは夫婦揃ってあまり体が強くなくて
食物アレルギーも結構あったりするのですが
私の親が頑健なので、病弱なことに理解がないんです。
アレルギーで体が痒くなったり寝込んだりしても
「甘えだ」「好き嫌いだ」「少しずつ食べれば」「気のせい」みたいな感じで。
うちはまだその程度ですんでいますが、ネットで以前
「祖母がそばアレルギーのうちの赤子にそばを食べさせて云々」
のような怖い話を目にしたことがあります。
悪気があるわけではなくて、「治そう」「慣れさせよう」などの善意で
取り返しがつかない事態を招くこともあるので
自分が患っていなくても、疾患についての知識は付けておきたいと思った次第です。

怒りを覚えたのは上記のような事情もあってのことで
実は、普段はそんなに怒ったり記事を書いたりしていないので
真摯さに頭がさがるなどと言われて、驚いております。
こちらこそ、名無し様の真摯なコメントに胸を打たれました。
名無し様の身近にいて重篤な症状に悩む方も
気にかけている名無し様のような存在に救われているのではないでしょうか。

私は専門家ではないので、病気の知識にも乏しいし
情けないですが、間違ったことも言ったり書いたりすることがあります。
でも、例えば身近な人が「つらい」「痛い」と言ったときに
知らない症状であっても、それを疑ったりせず
「大変なんだな」「元気になってほしいな」と
気にかける優しさを持ちたいです。
仰るように、病気の原因が何か、ということよりも
苦しむ方に対する周りの反応で解決することもあるように思います。

名無し様の身近な方も、症状や、周りの環境が少しでも上向きに変わって
楽に暮らせるようになりますように、と願います。
この度は本当にコメントありがとうございました。
  • posted by 真波 
  • URL 
  • 2014.05/11 20:46分 
  • [Edit]

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