▼追記の開閉
傷口を見たうちの人が
「血はほとんど出てないけどぱっくり裂けてる」と。
普段は落ち着いている彼がすごくおろおろして
「どうしよう…救急車よばないと…」と
救急に電話をして住所と症状を告げ
救急車に来てもらった。
来るまでの間ずっと私はティッシュであごを押さえてて
Tシャツに血がついちゃった、とか
着替えむずかしい、とか思いながら
着替えるのを手伝ってもらって
外に出て救急車をふたりで待った。
私はまだ自分の怪我に現実感がなくて
「病院ってノーブラでも平気かな」とか
言っていた気がする。
程なくして救急車が来て乗り込んだ。
担架のようなところに横になり
あごのティッシュを外して
テープを貼ってもらいながら
状況の説明をした。
その間に心電図のシールを貼ってもらったり
血圧を計ったりした。
「すぐに出発しないんだなあ、お騒がせしてご近所に悪いなあ」とぼんやり思った。
整形外科の救急は医大ではなくそれより近い
T病院だけどいいですかと聞かれ
はいと答えると、隊員の人が病院に電話をして、
それから救急車が出発した。
病院に着いて、担架のままからからと運ばれ
手術室、て感じじゃないけど
やたら照明がまぶしい部屋に通された。
傷口を水らしきもので洗って
口元だけが出ている布みたいなものを顔に被せられ
縫合が始まった。
麻酔が効いてないところがあったみたいで
ところどころ針を刺すちくちくとした痛みと
糸を引くひきつるような感覚があった。
あまりにも長くて縫い目の数を数えるのも
途中でやめてしまった。
縫い終わって、なんか茶色いの塗って
ガーゼ貼ってテープ貼って処置は終わり、
痛み止めと化膿止めを渡されて明日も来てねと言われた。
看護師さんに「何針くらい縫ったんですか?」と聞くと
「じゅう…ななはりでした」と。
「うわあ、すごいですね、ありがとうございます」と
まるで他人事のように感じながら
お礼を言って病院を出た。
まだ7時くらいで、家に帰るバスも出ていなかったので
そんなに遠くないし、と
うちの人とふたりでてくてく歩いて
土日の職場である半田屋に向かった。
5000歩くらいだった。
口の中を切ったらしく、鉄っぽい味がしたので
自販機でお茶を買って口をゆすいだ。
口元のテープの下の方がてろんと剥がれるのを気にしながら
半田屋に入り、先輩おばさんに事情を説明して
とりあえずその週の土日の勤務のお休みをもらった。
すごく心配してくれて、うどんをぬるめに作ってくれた。
「でもあんた、それくらいでよかったねー。
ここに来る途中で自転車が車にはねられて
死んじゃうこともあるかもしれないじゃない。
まあゆっくり休んで。この季節、汗かいて
治りが遅いかもしれないけどがんばって」と
パンチのある励ましの言葉をもらった。
朝ごはんを食べて家に帰って
お店が開く少し前に電話をして、
職場(半田屋ではない方)の先輩にも事情を話して
次の日のシフトの休みをもらった。
普通の休みを合わせて怪我当日から
5連休になった。
傷はほとんど痛くなくて
ただ、あごがしびれているような感じが残っていて
それよりも転んだときに打った膝が痛くて
歩くのもしんどかったので
翌日、病院に行って先生に膝を見せて
湿布を処方してもらった。
あごは再度消毒してガーゼ貼って
テープで固定して終了。
次は来週の半ばに来てください、それまで
テープは貼ったままで、と言われた。
顔がかゆくてもきちんと洗えないので
顔を拭くシートみたいなのをトライアルで買った。
テープは肌色だけど割と大きくて目立つので
出かけるときにはマスクをつけることにした。
暑い。
次の週の水曜に再度通院。
傷口きれいですねー、と先生に言われたけど
見てないからどんな状態か分からず気になる。
「一日早いけど抜糸しますか、明日来れないよね」
「来れます…けど」
「じゃあ明日にしよう。急がなくていんだー」と
翌日の抜糸が決定。
じゃあ「来週の半ば」なんてふんわりではなくて
「木曜に来てください」と指定してもらえたら
助かったなあ。
翌日の木曜に抜糸。
「もう顔も洗っていいけどあまり傷口はいじらないように。気になるようなら絆創膏貼ってください」とのこと。
「次は来月の3日、これで終了です」と言われて
テープ貼ってマスクして帰宅。
家に帰ってテープを剥がすと
想像していたより痛々しいかさぶたが
イナズマっぽく残っていた。
数日ぶりに顔を洗ってとてもさっぱり。
かさぶたはその後2日くらいで剥がれたけど
傷口の色がまだ濃い。
先生は、しわの位置とかであまり目立たないはず、と
言っていたけどこれはけっこう目立つ。
そしてあごが割と腫れてた。
私自身は顔に傷が残っても気にならないし
ほとんど痛くなかったこともあって
今回の経験もネタになったくらいに思ったけど
もちろん周囲はとても気にかけてくれて
すごく痛い思いをしたのかも、と
想像してくれたりしたことに
逆に申し訳なさを感じた。
「俺はお前の顔に傷があっても
嫌な思いはしないけど、
お前が気にしなくても周りの人が
嫌な思いをするかもしれないから
傷口が目立たなくなるまでは
人前に出るときには
マスクか絆創膏をした方がいい」と
うちの人に言われて
それ以来、そのようにしている。
あごの腫れが引かないので
また病院に行ったら
塗り薬を出してくれた。
血行を良くして炎症を押さえて
保湿をしてくれるお薬なんだとか。
しばらくはマスク生活。
41歳になってから
人生でいちばんの怪我をするとは思わなくて
まだ顔に傷がずっとあることにも慣れなくて
まだうまく受け止められていない。
いつかこの傷も薄れるかもしれないし
マスクも絆創膏もいらなくなるときがくるかも。
いーの発音するときにちょっと
唇の左右のバランスが悪くなった気がする。
今回の件でたくさんの人から
私を気遣ってくれるやさしい言葉を
本当にいっぱいもらった。
たくさんのやさしい人たちに囲まれていて
気にかけてもらっていることを
とてもしあわせだと思った。
いつもありがとうございます。
膝が治ったら運動も再開したいな。